小学校教員
らくらく仕事術
転職するならためしに小学校の先生やってみない?
らくらく仕事術

おすすめの室内遊び(低学年向け)

子どもたち同士の仲が良いクラスは、学びの環境としてとても有益です。もし、子どもたち同士のトラブルが起こったとしても、子どもたち同士の仲が良いと「許してあげたい」や「許してほしい」という気持ちが子どもたちの中にあるため、前向きな話し合いができ、早期解決ができます。しかし、何も取り組まず放っておくと子どもたち(大人も同様に)は自分の利益のために争い、関係を崩していきます。そこで、まずは、子どもたちにみんなで過ごすことにメリットがあることを実感してもらうことが大切です。みんなで遊ぶ体験を通して楽しい時間を過ごすことができると、子どもたちにとってみんなで仲良く過ごすことの価値が生まれ、協力し合うことのメリットを感じるようになります。今後の日本の教育がどうなっていくかは分かりませんが、運動会や音楽会など、みんなで何かをする機会はこれからもしばらくは続くでしょう。子どもたちにとって良い学びの環境を作るための一つの取り組みとして、おすすめの遊びを紹介します。

ダンゴムシおにごっこの概要

全ての参加者は、三角座りをしてスタートします。おに(1人〜)に、タッチされた人は、横に倒れて丸まっていなければいけません。まだおににタッチされていない人にタッチしてもらえると、再び三角座りに戻って動き出すことができます。

この遊びは教室などの狭い場所でも行うことができ、身体能力の差が出にくいおにごっこです。またケガが少ない遊びなので、特に低学年におすすめの遊びです。高学年だと、退屈に感じる子も多いかもしれませんが、低学年と遊んであげる行事がある場合には、身体能力の差が出にくいこの遊びはおすすめです。

用意するもの

対象学年1年生から実施可能
場所床に座ることができる室内(教室、ランチルーム、体育館など)
人数5人以上
所要時間5分から
時期通年
用意するもの赤白帽子(あるとおにが分かりやすく、便利です)
カラーコーン4つ(コートを作るのに使用します)
タイマー(なくてもいいですが、あると時間でくぎりのが楽になります。)
表:ダンゴムシおにごっこをするための条件等

おすすめのルール

子どもたち同士の関係がまだ浅い時期を想定し、子どもたち同士を繋ぐことを一番の目的としたルールにしています。目的に応じてカスタマイズしてください。以下のルールは、一度では、できるようにならない(1年生が絶対覚えられることは2つまでだと思いましょう)ので、サッと説明した後で、一度やってみて、正しくできている子を褒めてあげることで正しい遊ぶ姿を教えてあげてください。以下に、子どもたちへの伝え方を示します。

  1. みんなが、安心して楽しめることが一番大切です。今からいうルールは、嫌な思いをする人がいる場合は変えることがあります。
  2. おには、先生がします。(複数の先生がいる場合は、複数のおにがいても構いません。子どもたちは大喜びです。)
  3. 移動は三角座り(体育座り)です。
  4. コートの外に出て逃げてはいけません。
  5. タッチされたら、ダンゴムシのように丸まってじっとしていてください。(一度みんなやってみてといって、素敵なダンゴムシをお手本の例として示してあげてください)
  6. 丸まってしまった子は、おにじゃない友だちにタッチしてもらえるまで、動けません。みんな、ダンゴムシになっている子を助けてあげてね。
  7. タイマーが数が0になった時(時間で言って、先生が適当に笛を吹いても構いません)に、ダンゴムシになっている子が4人より少なかったら、みんなの勝ちです。ダンゴムシになっている子が4人か4人より多くいたら、先生の勝ちです。(これを言っておくと、友だちを助けようという子が増えます。)

おには、先生でなくてもいいのですが、最初の頃は先生がやった方が子どもたちが一致団結する確率が増えます。子どもたちの中には、追いかけられたかどうかをすごく気にする子がいるので、満遍なく追いかけてあげてください。また自分からタッチされに来ようとしたり、「ここまでおいでー」などと煽ってきてしまう子がいるのですが、その場合は、徹底してそういった行動を取った子を追いかけないことが大事です。(子どもたちは構ってほしいだけなので)一言、「みんなちょっと話してもいいですか?、みんながおにをしてる時に、自分からタッチされにくることや、ここまでおいでーとか言われるのって嬉しい?」と全体で聞いておくと、後で、「先生なんで追いかけてくれないの?」言われた時は、「〇〇さんのしてたことはみんなが嫌だって言ってたから、追いかけてあげれないのよ、なおしてくれたらすぐ追いかけるよ。」と言って、行動を変えた時にたくさん追いかけてあげると、みんなが嫌なことはしないが身につきます。また、「〇〇さん最初は、おにのこと煽ってたのに、みんなが嫌だっていうこと知ったら、その後もうしなくなったのよ。すごいよね。」と、みんなの前で成長したところを伝えてあげるのもとても効果的です。

こういったみんなで遊ぶときには、短く区切って「嬉しかったことある人?」「嫌な思いちゃった人?」と確認しながら、みんなにとって嬉しいこと、みんなにとって嫌なことを確認していくと、不満を持つ子が減ります。また、嫌なことが出た場合には、「じゃあどうしたらいい?」聞いてあげると、みんなが楽しく過ごせる素敵な方法を前向きに考える児童が育ちます。

最後に

この記事で紹介したダンゴムシおにごっこは、低学年向けですが、どの学年でも楽しむことができ、準備が少なく短時間でできるみんな遊びです。子どもは、道徳的な価値(友だちに優しくした方がいい、友だちに嫌なことをしてはいけない、嘘をついてはいけない、ずるをしてはいけないなど)を実はほとんど知っています。しかし、知っていても実際に行動することはできません。理由は、いろいろありますが、一つは、道徳的価値に対する子どもたちのモチベーションが低いからです。子どもたちにとってのモチベーションは何と言っても「楽しい」です。みんな遊びでは、環境やルールの作り込みは必要ですが、道徳的な価値を大切にすると「楽しい」ということを実感してもらうことができます。この経験をしてもらうことができると学習の場面でも、「前みんなで〇〇したら、楽しかったよ。」など、子どもたちの中に道徳的価値を大切にするモチベーションを作ることができます。

この遊びを通じて、子どもたちはみんなで過ごすことの価値を実感し、授業や行事に友だちと共に前向きに取り組む姿勢が劇的に増えました。ぜひ、皆さんのクラスでも試してみてください。