夏休みが終わると、子どもたちとは、久しぶりの再会となる先生が多いかと思います。夏休み明けは、多くの子どもたちが先生が大切にしていること、学級で決めた大切なこと、いろいろなルールや決まりなどを忘れてしまっています。なので、夏休み明けには、もう一度それらを一つひとつ丁寧に伝えなおし、子どもたちに思い出してもらわないといけません。学級経営が上手くいっており、良い雰囲気で夏休みに入れた先生にとっては、手間ですが、夏休み明けの3日間は、学級をもう一度建て直すチャンスでもあります。ここでは、理論(理論は応用が効きますが、具体的に何をいうかを自分で考えなければいけないので)ではなく、私なら何をどう伝えるかという観点で書きたいと思います。参考になれば幸いです。
夏休み明けにすること
夏休み明けには、以下のことをする学校が多いと思います。
- 子どもたちに一番伝えたいこと(優先度:大)
- 始業式・夏休み明け集会など
- 宿題、提出物等の回収(優先度:大)
- プリントの配布(優先度:大)
- 夏休み明けの行事など、学習予定の話
- 夏休み明けの学級目標の設定など
- 運動会の目標の設定など
夏休み明けの1日目に子どもたちが、覚えて帰れることは少ないです。子どもたちの素敵な行動については、いくらでも褒めてあげて良いかと思いますが、望ましくない行動については、本当に大切なことや危ない行動以外は見逃すこと(優しい注意はいいと思いますよ)も大切です。そうしないと子どもたちは、何が一番大切なのかがわからなくなります。私は、夏休み明けの1日目は、前向きな雰囲気で①を学級の全員に浸透させることを第一優先にしてこの日を過ごしています。それ以外は、時間があればやりますが、優先度は低いです。この日は、久しぶりの学校です。子どもたちに頑張ってもらうことは絞ってあげてください。
また、待ち時間が多いと変な行動をとってしまう子がどんどん出てきてしまうので、何か楽しい学習プリントを複数枚用意してあげるとすごくいいと思います。タブレットは忘れてくる子がいるので、プリントは用意することをお勧めします。
夏休み明けに、まず伝えること
夏休み明けに子どもたちと出会ったら、子たちが夏休みの楽しかった思い出などをどんどん先生に伝えにくると思います。そういった時間が終わり、学級の子どもたちが座った状態で落ち着いて話せる時間が作れたら、ここで、子どもたちに一番伝えたいことを伝えます。
実際に子どもたちに伝えている言葉を以下に示します。
「みんな、久しぶり」
「一人ひとりいろいろな夏休みを過ごしていたと思います。先生はみんなに久しぶりに会えて嬉しいです。」
「夏休みの学校は、とても静かだけど、みんなの元気な声がなくて、とても寂しかったです。」
「それでは、今から大切なことを2つ話すので、これは頑張って最後まで聞いてください。」
「準備はいいですか?」
※次の言葉をここで黒板に書いてこの日は一日、黒板に書いたまま過ごしてもらっています。また、これは、掲示物も作って教室に貼っています。
学校の目的
・一人ひとりの成長
大切なルール
・みんなの安心・安全
「学校では、いろんなことをするけど、何のためにするかというと、一人ひとりの成長のためにやってます。そうだよね。」(子どもと確認することが大事)
「だから、楽しいことや好きなこと、やりたいことではなく、一人ひとりがちゃんと成長する方法や、やり方をいつも選びます。」
「何人かにとって良い方法でも、クラスの誰かの成長の邪魔になるような方法は取れないから知っておいてください。」
「大切なルールは、みんなの安心・安全です。」
「一人ひとりの成長を一番に目指すけど、成長するなら何をやっても良いわけじゃなくて、みんなん安心・安全が守られていないとできないです。そうだよね。」
「質問はありますか?」
「最後まで聞いてくれてありがとう。みんなで目標やルールなんかを決める時には、みんなには、この2つが守られているかを考えて意見を言って欲しいです。」
「夏休み明けも頑張っていこうね。」
上記の2つを軸に行動を考えさせることができると、子どもたちがついついやってしまう集団で学ぶ上(集団で学ぶ現在の形式じゃないのであればいらないのですが、しばらくは学級で学んでいくでしょうから)で、友だちの邪魔になってしまったり、意地悪になってしまったりする行動のほぼ全てに対応でき、望ましくない行動の理由を先生からではなく、子ども自身が考えられるようになります。
夏休み明け3日間から1週間は毎日伝え続けると非常に効果があります。また、運動会の目標などの行事の目標を立てる前に、学校の目的と大切なルールを板書したり、掲示しておいてあげたりすると前向きな意見(前向きじゃない意見は、一人ひとりの成長やみんなの安心・安全から外れてしまうのでそもそも言えなくなる)が出やすくなります。
なぜこれを伝え、そして何度も伝え続けるかについては、「子どもたちに最初に伝えるべきこと」にも書いているので、興味があればご参照ください。
夏休み明けに、まず伝えることについて
本記事では、自分が学級で伝えていることをそのまま書きましたが、自分で考えたい方や、すでに自分で考え抜いた先生が一番大切にしている学級経営の軸にしていることがあれば、それを話してください。ここで話すことは、「掃除を一生懸命がんばろう」や、「あいさつを元気よくしよう」などの具体的な行動目標ではなく、その先にある、行動をとる目的にしてください(元気よく挨拶するのは、友だちを大切にするためですか?学びやすい学級にするためですか?コミュニケーション能力の向上のためですか?)。行動目標は、「元気にあいさつしよう」など、注意や指導もしやすいですし、子どもたちも注意や指導を受けて行動を変えやすいです。しかし、一方でしばらく先生に言われるがままやっているとそもそも何のために、そんなことをしているのかが、分からなくなってしまい(あれ、何で元気にあいさつしないといけないの?お辞儀でもいいよね?など)どんどん主体性を失ってしまうことがあります。また、行動目標が増えてしまうといったい何が一番大切なのかが子どもたちもですが、先生自身も分からなくってしまいます。そうなると、行動目標を守らせるために、先生も子どもたち同士もひたすら注意をし続けなくてはいけなくなります。なので、この日は先生が一番大切にしている学級経営の軸だけをしっかり伝えてください。