小学校教員
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説明の途中で教室がうるさくなる時の対策方法

 「私のクラスの子ほんとに話聞けないのよ。」や、「すぐうるさくなってしまうんです。」などと言って困っている先生をたくさん見てきました。小学校ではよくある先生の悩みだが、特別な環境でない限り、大人の世界でそんな現象はあまり見かけない。民間の企業に勤めている人や、個人で事業を営んでいる人で、上司やお客さんが喋っている時に、こそこそと陰口を言う人はいても、目立つぐらい騒がしい人はほとんどいないのではないだろうか、またそれにつられてうるさくなる人(そりゃ世の中は広いので少しくらいはいるでしょうが)もほとんどいない。確かに大人の世界ではほぼないので子どものせいといえば、子どものせいなのだが、残念ながらすぐ騒がしくなるクラスの方が圧倒的に多い。なので、子どものせいにしたところであなたの仕事が楽になることなどない。そこで、本記事では、子どもが言った通りにやらない共通した理由と、説明の途中で教室が騒がしくなって授業が進められなくなってしまう時の対策方法について書きます。もちろん基本と例外はあり、苦手な子には個別対応が必要ですが、基本的にこの方法で大丈夫です。大切なのは9割の子ができる状況を作ること。それができると、残り1割はできた方がいいんだなと思って頑張ってくれます。ここで提示する方法は特別支援学級在籍の子にも非常に効果がありました。

子どもがやらない時の共通した理由

 「子どもが言った通りにやらない」なんていうことは、あらゆる場面においてあります。こちらの指示に対して、子どもたちは本当に様々なユニークな行動で返してきてくれます。

 まず、小学校の先生自身がしっかりと理解すべきことがあります。子どもが言った通りにやらないのは指示していることが本人たちにとって難しいからです。子どもは簡単にできることはやります。めんどくさがってやらないのは気持ちの問題に見えるかもしれませんが、結局本人にとって難しいからやらないんです。これを、しっかりと頭に叩き込んでほしい。

 なので、子どもたちが言った通りにやらない時には、『このやり方はこの子たちにとって難しいんだな。』と、自分のことも子どもたちのことも責めずに次やる時にサッとやり方をかえれば良いだけです。(なぜか文句を言いながら頑なにやり方を変えない先生もいますが、人はそんなにすぐ成長しません。やり方を変えないなら気長に子どもの成長を待ちましょう。)

説明の途中で教室が騒がしくなる時の原因

 大人からしたら、子どもたちがすることは『きく』だけに思うかもしれません。だからこそ『きく』をもっと簡単になんてできないよっておもうかもしれません。しかし、子ども達からすると先生が話をはじめた瞬間からたくさんの課題を同時に突き付けられているのです。

 子どもたちには経験値がありません。なので、子どもたちは、先生がいつまで話すのか分からない不安と戦っています。自分が気になっていることをいつ話してくれるのかも不安です。分からない言葉が出てくるとそれが分からないから質問したくなります。そもそも質問は何をしてよくて何はしてはいけないのかわかりません。先生の言っている話題から、自分の思い出を思い出して、みんなに発表したい衝動に駆られているかもしれません。明日のことが聞きたいかもしれません。実際によくあるケースで考えると分かりやすいと思います。説明の途中で教室が騒がしくなるケースは大体この2つです。

ケース1

先生が説明している途中で次々と質問がとんできて、話が前に進まないケース

 例えば、朝の会の時間に今日ある授業について話していると、1時間目の説明の時に4時間目のことや、全く関係ない質問が次々とんでくる。それに対応しているうちに、最初の方に話したことを子どもたちは忘れてしまうので、また説明し直さなければいけなくなります。先生があらかじめ説明する予定だったことを、先に聞いてくるなどもこれにあたります。

ケース2

先生の話をとって、騒がしくなっていくケース

 例えば、

 先生「こないだの土曜日晴れたやんか?」

 子どもA「くもりやったでー」

 子どもB「いや晴れてたって」

 子どもA「いや雨ちょっと降ってたで」

 子どもC「絶対晴れやった、だっておれサッカーの試合でさ」

  おしゃべりに発展する。

 先生「静かにしてください」

 ということがよくある。

説明の途中で教室が騒がしくなる時の対処法

 説明の途中に騒がしくなっても、それがイコール悪いクラスではありません。騒がしいが教室の雰囲気がすごく良くてステキなクラスもあります。いつもは騒がしいがいざという時は、静かに行動できるクラスもある。特に手を打たなくても、子どもからすごく好かれる先生や、子どもの心を上手く掴める先生は、その騒がしさを乗りこなす事ができます。しかし、私には、そんなことはできない。子どもたちが説明を聞けなくなると、子どもたちの活動時間が減り、きっちりと嫌な思いをする子を作ってしまいます。なので、ここで提示する対処方法は、説明の途中に騒がしくなってとても困っている先生に向けてのものです。今までとちがう授業の進め方になる部分もあるかもしれませんが、劇的に効果があります。

まず教員がやめるべきこと

 みんなに問いかけて口々に答えさせる話し方をしてはいけない。例えば、「今日って雨降ってたっけ?」や「昨日学習したこと覚えてる?」と授業中に子どもたちに問いかけることは、よく見かけられる光景だが、これをやってしまうと、その質問に対して延々と話してしまう子や、誰かの発言に対して反応し、そこでおしゃべりをしだす子が出てくる。また、場にそぐわない不適切な発言をしてしまう子もいます。もちろんそんな事が起きないクラスもある。しかし、みんなに問いかけるたびに騒がしくなり、関係ない話になっていくクラスは明らかに、このスタイルは向いていない。

 問いかける時は、一人の子に答えさせよう。方法は挙手でも、起立してでも、その他の方法でも良い。とにかく、教室でみんなで進めるときの発言者を一人にして、誰が話す時間か明確に分かるようにしてあげよう。この方法を取ると、発表者は思いついたことを整理してから話すので、場にそぐわない不適切な発言を減らしてあげることもできます。

「話す人は一人にしよう」という価値づけと習慣づけ

 前章の「まず教員がやめるべきこと」をしっかりとした上で、子どもたちには、「全体で話す人は一人にしよう」と伝えよう。それを伝えても、騒がしくなるクラスの子たちは、悪気なく口々に、質問や授業に関係ない話を授業中に言ってきます。そのときに、その子に指摘するのではなく、喋っていない静かにしている子(発表することにドキドキしない子を当ててあげてください。)に「Aさん、今Bさんなんて言ってたか分かる?」と聞いてあげよう。すると「わからない」と答える。そしたら、「なんで?」と聞いてみよう。答えられなかったら「なんでBさんの言ってたことが聞こえなかったか分かる人いる?」と答えさせても良い。すると「うるさかったから」や、「だれが話してるかわからないから」と答えてくれる。「そうだよね。だから、全体で話す人は一人にしよう」って言ったんだよ。この一連のやり取りが価値づけです。

 次に習慣づける方法だが、上記の話をしても即座に改善される訳ではない(4月なら2週間〜1ヶ月で習慣づけできる)。まず、何かあったら挙手して発表するというふうにすぐに行動を改善してくれる子がいるので、その子をすごく褒めよう。褒め方は「その発表の仕方だったらクラスのみんなが、誰が何の話をしてるか、よく分かるね。」と具体的に伝えてあげましょう。苦手な子は、まだ口々に何か言うが、そこに反応するのではなく「全体で何か言いたいときはどうするんだったかな?覚えてる人?」と誰かに答えさせて、苦手な子に気づかせてあげよう。

 低学年の子の場合は、持ったらみんなの前で話す事ができるカード(下図のようなもの)を作ってあげると、話す人は一人であることと、話す人が誰かに気づきやすくなる。カードでなく、小さなカラーボールでも良い。

説明の区切りごとに質問の時間を作る

 説明した後に必ず質問の時間を作ることを子どもたちと約束しよう。この約束をしておくと質問したいことがあっても、すぐ声に出すのではなく、いったん胸に留めておく事ができるようになる。約束するときに、授業に関係ないことには答えないと言うことと、後で説明するときに出てくることは後で答えることを追加で約束しておくと良い。これをすると、子どもたちの質問の質が良くなっていきます。

 説明の区切りだが、できれば1つの説明は1分以内でしてほしい。1分以上話しても結局理解できている子は半数以下(もっと少ないかも)なので、ここは頑張ってほしい。

説明する時間を減らす工夫

 説明が必要なのは、説明を聞かないと子どもたちが活動できないからである。できるならば説明など少なければ少ないほどよい。もちろん、それで子どもが適切な行動を取れなければ意味がない。

 以下のことを考慮し、実践すると説明に必要な時間が大幅に削減されるので、やってみてほしい。もちろん全部やる必要はありません。手立てがなくてもできるのであれば、手立ての必要はありません。

  • いつも同じやり方でする。(一番業務改善の効果が高いです)
  • 黒板に話す内容を箇条書きする。(子どもが最後まで聞ききりやすくなります)
  • 写真や映像、スライドなどを使う。(楽に準備できるものにしないと業務改善のためにしているのに本末転倒になります)
  • みんなの前で見本として何人かにやってもらう。
  • 活動をさせてみて、してほしい行動をとっている子をお手本として、みんなに見てもらう。(言語表現が難しい活動で効果的、百聞は一見にしかずです)
  • ペアで話した内容を確認させる。など

まとめ

 本記事では、説明の途中で教室が騒がしくなって授業が進められなくなってしまう時の対策方法について書きました。騒がしいクラス=悪いクラスでは決してありませんが、騒がしいことで説明や指示がうまくできなくなると、授業が遅れたり、子どもの活動時間の減ったりする可能性が高く、不満を持つ子も出てくる可能性もあります。本記事で書いた対処法を簡単にまとめると以下の通りです。

  1. 問いかける時は、一人の子に答えさせる
  2. 「全体で話す人は一人しよう」という価値づけと習慣づけ
  3. 説明の区切りごとに質問する時間を作る
  4. 一つの説明は1分以内にする
  5. 説明する時間を減らす工夫

 全部やるにこしたことはないが、それができたらそもそも困ってないと思います。特に①から③は即効性が比較的高く、教育実習生や初任の先生にも効果を実感していただけたので、試してみてほしいです。