面接試験が苦手と言う人は、面接を難しく考えすぎているように思います。面接試験が苦手な人の多くが、そもそも、聞かれている質問を無視して答えてしまっています。実際に集団面接等で見ていると、5人いたら2人はそういう人がいます。小学校の教員採用試験の面接では、優秀な人材を装う必要も爪痕を残す必要も全くありません。
本記事は、数多くの方々の面接対策をお手伝いしてきて、受験者が共通して誤解しているように感じたことや、対策してすぐに効果が出たことをできるだけ分かりやすくお伝えすることで、面接は苦手だけど、子どもを本当に大切にできる方に小学校の教員として長く働いていただくために捧げたい。もちろん、正教員でなくても素晴らしい先生は山ほどいます。素晴らしい先生であることと、正教員であることは全く関係ありません。むしろ非常勤講師だったら、副業できるし、講師だったら、1年働いて1年遊ぶみたいな勤務もできるので、そっちの方がいいんじゃないかなぁと思ったりもします。しかしながら、素晴らしい先生が正教員の勤務形態の方が安心して仕事に集中できるのであれば、私は全力でお手伝いするのみであります。試験と名の付くものには、必ず攻略法があります。
目次
採用試験の面接官について
相手を知らなければ、対策などできない。小学校教員採用試験の面接官の属性について理解しておいてほしいのだが、なんと採用試験の面接官は採用や面接のプロではない。これをしっかりと理解しておこう。公務員あるあるだが、その仕事を役割として割り当てられたからやっているにすぎない。教育委員会の人や、現職の校長、元校長などが面接を担当していることがほとんどである。教育委員会の人はどういう人かというと元々は教師として、小学校で働いていた人たちである。そんな彼らに仕事ができる人を見極める目などない。緊張している人もいれば、独自の主観で面接してしまう人さえいる。なので、受験者がしっかりと面接担当者が変な質問をしてしまわないようにリードしてあげよう。
民間企業の面接とのちがい
超高倍率の民間企業とちがって、小学校教員採用試験は落とすための面接にはなっていない。優秀な人を探すと言うよりは、教員として多数派の人を採用するための面接になっています。そのため、爪痕を残すようなことをする必要はなく(爪痕を残すようなことをするとむしろマイナスになります)。基本をしっかりと押さえていけば合格する確率をグーンと上げることができます。
面接試験の目的
採用側の面接試験の目的は、あなたがどんなタイプの人間かを知ることです。面接試験の時間は短いので、短時間で自分がどんなタイプの人間であるかを、第三者に把握させることができればまずはOKです。その上で、後の章の「質問に答えることによって見せるべきこと」ができれば、小学校教員採用試験の面接試験としては成功です。
第一印象で高得点を取る方法
最強に第一印象を爆上げする方法は、「笑顔で元気に挨拶する」である。バカにするなと思うかもしれないが、できない人は結構多い。そして、これほど効果のある方法はない。前章で書いたが、面接担当者は、正直何を見たらいいかあんまり分かっていない。しかし、面接時間が決まっている。なので、第一印象が良いと後から全て良かったかのように錯覚してくれる人がいる。また、第一印象がいい人の採用の点数を低くすることは、面接担当の業務が初心者の彼らにはかなりむずかしい決断である。そして、公務員は決断を嫌い、決断を先延ばしにする人種である。うまく質問に答えられないことがあっても、第一印象で高得点を取っていれば面接担当者からの助け舟がくる(質問の仕方を変えてくれることがある)。ちなみに、私は笑顔で元気に挨拶ができない人間であった(なんか恥ずかしくて笑)。そして、そんな私と同類の方でも、この後の章で伝える方法ができれば、合格できる。しかし、何事も練習すればできるかもしれないし、「笑顔で元気に挨拶する」は非常に効果があるので、鏡の前で毎日1分くらいは練習してみてほしい。ちなみに私は、教員の仕事をするうちに子どもたちのおかげで、「笑顔で元気に挨拶する」ことができるようになりました。
最も大切な面接の基本
面接では、聞かれたことだけに短く答えよう。面接練習を手伝っていて、よく思うが、面接が苦手という人の多くは、聞いたことにまず答えてくれない。そして、話す時間が異常に長い。
質問は大きく分けて以下の2種類があります。それぞれについて話す時間の目安を書くのでその時間を基準に話して欲しい。
- [いつ、どこで、誰と、何を、どちらを]などを問う質問・・20秒以内
- [なぜ、どのように]などを問う質問・・・1分以内
①の質問には必ず追質問がくるため、とにかく聞かれたことにだけ正確に短く答えてください。覚えていないことや分からないことに関しては、「すいません、おぼえていません。」「すいません、分からないです。」と答えても構いません。
②の質問は、志望動機やあなたの強み、あなたの弱み、どんな学級にしたいですか?などがこれに当たります。この質問は、1分以内で理由を含めて答えてください。長く話しすぎると面接担当者が追質問するポイントを見失ってしまいます。面接担当者が面接・採用のプロではないこと、緊張している人や、変なスイッチが入っている人がいることを忘れないでください。
ちゃんと質問に答えても面接に失敗してしまうパターン
一つひとつの質問に正確に答えても、面接に失敗するパターンがあることを知ってほしい。それは、それぞれの質問に対する回答に全く統一感のない回答をしてしまうことである。これをやってしまうと、結局あなたがどんなタイプの人かわからないために面接の点数をつけれなくなってしまいます。
どういうことかというと、例えば、「あなたの強みはなんですか?」と聞かれた時に、
「私の強みは、こつこつ継続して努力を積み重ねることできるところだと思います。大学時代のゼミでの研究では、最初の想定とちがってうまくいかない事が数多くありました。そこで私は、研究テーマを変える選択肢もありましたが、諦めることができず、膨大な時間がかかっても一つひとつの事象を検証していく方法を選択しました。その結果、うまくいくパターンを見つけることができ、良好な実験結果を得る事ができました。小学校の教員として働く上で、うまくいかないことがあったとしても、諦めずこつこつ取り組むことで、少しでも良くなる方法を見つけたいです。」
と答えたとする。その後の質問で、「もしあなたのクラスで、勉強がしんどい子がいたらどうしますか?」と聞かれたとする。
その答えに対して、
「私は、ICT教材を使います。私は、大学時代プログラミングによって実験環境の構築をしていました。そこで学んだことを活かして、勉強がしんどい子にも、分かりやすい視覚支援たっぷりの教材を作りたいと思います。」
それぞれの回答自体、そこまで悪い回答ではないが、この人は絶対に落ちる。なぜなら、面接試験は、面接官に自分という人間がどんなタイプの人間かを分類させる試験である。上記の回答をすると、あなたが「コツコツ努力型の人」なのか、「ICTが得意な人」なのか分からない。こういう答え方を続けると結局あなたがどんなタイプの人なのか分からないまま面接時間が終わる。
強みのところで、こつこつ努力するタイプと伝えたからには、その後の質問にもこつこつ努力するタイプで答えなければいけない。違うことを言っていいのは、「その方法でうまくいかなかった場合はどうしますか?」「他の方法は何かありますか?」と聞かれた時だけである。
得意なことが多い人ほど、色々伝えたい気持ちが強いことは理解できますが、それでは相手に伝わらないので自分というタイプが何タイプかを3要素ぐらいで表現するように努めてください。
質問に答えることによって見せるべきこと
面接の質問に答えることによって見せるべきことは、以下の3要素である。面接でこの3つの素質があることを見せる事ができれば大成功である。
- 小学校教員に向いていること・・・志望動機や実習、業務上でのエピソード、子どもが好き、勉強を教えることが好き、人の成長に関わりたいなど
- すぐにやめないこと(続けられるか)・・・強み、これまでの上手くいかなかった時の対応など
- 人と協力して働けること・・・①②の質問に答えるときに少し混ぜて答える
面接官の質問がどの要素を聞きたくて、あなたに投げかけたものかを考えながら答えることができると面接官との対話が噛み合うようになります。質問の背景にある知りたいことを考える訓練をしましょう。
それぞれの見せ方については以下の通りです。
①は、子どもが好き、子どもの成長に携わりたい、授業が好きもしくは楽しい、教員特有の業務が好きもしくは楽しいなどを答えると良いです。学生さんは、教育実習やボランティアなど子どもと関わった経験をエピソードとして、持っておくと良いと思います。講師を経験した事がある方は、日々の業務の中でのことをエピソードとして、持っておくと良いと思います。志望動機には、必ず盛り込みましょう。
②については、過去の経験で嫌なことや上手くいかないことがあったとき、もし仕事がうまくいかないときなどへのあなたの対応方法を聞くことで判断されます。
③は「意見が合わない人と仕事をする場合どうしますか?」などの直接的な質問がきた場合に答えるか、①②について話すついでに人と協力したり、人に相談したりすることで課題解決をしたエピソードを長くならない程度に織り交ぜて話せば良いです。
必ず運の要素はある
人間対人間の試験である以上、必ず運の要素が発生します。初めて面接を担当する面接官は質問が下手です。午前より午後の方が面接官として質問がうまくなってくることもあり、午後に面接を受ける方が有利なことだってあります。ひどい人だと緊張を誤魔化すために、威圧的な態度をとってしまう面接官もいます。また、独自の主観で面接しちゃう人も少なからずいます。なので、もしうまく伝えたにも関わらず結果が良くなかったとしても、自分の人格が否定されたようには感じないでください。ただし、そもそも手応えがあまりにもなかったのであれば、上記の章の一つひとつを見つめ直して、再度トライしてほしいと思います。
まとめ
本記事は、数多くの方々の面接対策をお手伝いしてきて、受験者が共通して誤解しているように感じたことや、対策してすぐに効果が出たことをできるだけ分かりやすくお伝えすることで、面接は苦手だけど、子どもを本当に大切にできるステキな方に小学校の教員として長く働いていただくために書きました。
面接には、色々なテクニックがありますし、面接官との相性が悪くても合格確率を上げる方法等もありますので、全てを完璧に網羅して本記事で書けてるとは思いません。しかし、基本的な要素については書けたと思います。基本あっての応用ですので、面接が苦手な人はまずはこの記事で書いたことを意識して面接練習をしてください。
面接対策について問い合わせていただいた内容が一定数に達したら、その質問に特化した記事を書くことも検討していますので、ご質問等あれば問い合わせよりお願いします。ただし、一問一答でお答えする訳ではない(できそうならしようと思っていますが)ので、ご了承ください。