子どもたち同士の仲が良いクラスは、非常に良い雰囲気を持ち、学びの環境としても大きな効果があります。もし、子どもたちの間でトラブルが起こったとしても、「許してあげたい」や「許してほしい」という気持ちが子どもたちの中にあるため、前向きな話し合いができ、早期解決ができます。しかし、何も取り組まず放っておくと子どもたち(大人も同様に)は自分の利益のために争い、関係を崩していきます。そこで、まずは、子どもたちにみんなで過ごすことにメリットがあることを実感してもらうことが大切です。みんなで遊ぶ体験を通して楽しい時間を過ごすことで、子どもたちにとってみんなで仲良く過ごすことの価値が生まれ、協力し合うことのメリットを感じるようになります。今後の日本の教育がどうなっていくかは分かりませんが、運動会や音楽会など、みんなで何かをする機会はこれからもしばらくは続くでしょう。子どもたちにとって良い学びの環境を作るための一つの取り組みとして、おすすめの遊びを紹介します。
サバイバルドッジボール(概要)
学年問わず楽しめるドッジボールです。通常のドッジボールと違い、センターラインがなく、一面のコートで行います。全員が敵であるため、競技に参加しない児童を劇的に減らすことができます。
用意するもの等
対象学年 | 1年生から実施可能 |
場所 | 運動場や体育館など |
人数 | 5人以上 |
所要時間 | 5分から |
時期 | 通年 |
用意するもの | ソフトバレーボール(1から3個) カラーコーン5つ(コートを作るのに使用するため、白線でも可能) |
おすすめのルール(低学年でも守れる)
- スタートの合図と同時に先生がコート外からボールを投げ込むことで、試合が始まります。
- ボールをとった児童は、とったところから10秒以内にその場で、誰かにボールを投げます。(同時に触った場合にはじゃんけんをします。じゃんけんした相手に投げるのは10秒まってあげます。友だちのじゃんけんをぼーっと見る子が現れますが、その子には当ててもいいです。)
- 通常のドッジボールと同じで、ワンバンやキャッチできるとセーフになります。(顔面セーフなどは、児童の実態で決めてください。)
- コートの外に出た場合は、コートの線のところまでは、ボールを持ってくることができます。
- ぶつけられた人は、一休みコーナー(青のカラーコーンのところ)で30秒から100秒(実態に合わせて決めてください)数えたら復活できます。(一年生だと数を数えるいい勉強になります)
このルールは、私がこれまでの経験を通じて確立したもので、トラブルを防ぐために非常に効果的です。子どもたちは最初からトラブルが起こると、「みんなでやったほうが楽しい」という気持ちが育つ前にみんなで遊ぶことが嫌になってしまいます。そのため、初めのうちは教員がしっかりとバックアップし、楽しい時間を過ごさせることが重要です。様子を見ている際に、ルールをしっかり守っている子や、みんなに良いお手本を見せている子がいれば、遊びを一旦止めて、みんなの前でその子をしっかりと褒めます。これにより、他の子どもたちも楽しく遊ぶための行動を取るようになります。また、みんなで遊んだことについて前向きな感想を持っている子に発表させると、クラス全体が良い雰囲気になります。
子どもたちがルールに慣れてきて、ルールを守ることでみんなが楽しく遊べることが定着してきたら、新しいルールを追加することで、さらに楽しくなります。たとえば、ボールの数を増やしたり、「3歩まで歩いて投げられる」などのルールを追加することが考えられます。しかし、新しいルールを追加すると、無意識のうちに相手が嫌がることをしてしまう子も出てくるかもしれません。そのため、私はルールを追加する際に、定期的に「嫌なことあった?」と話し合いの時間を設け、「じゃあどうする?」と問いかけながら、みんなで新しいルールを作っています。これにより、子どもたちは自分たちで安心・安全に過ごせるルールを考える力を身につけます。
ボールを2球、3球と使う場合は盛り上がりますが、ボールを持っている人にボールをぶつけるのを許すと、ボールを持っている子がなかなか投げなくなります。そのため、「ボールを持っている人には当てない」「ボールを投げてから10秒間はぶつけない」などのルールが必要になります。これも子どもたち自身で話し合って決めると良いでしょう。
クラスが勝ち負けを楽しめるようになったら、復活を無しにして、最後の一人になるまでやると盛り上がります。その前段階として、先生が笛や合図をするまでは復活なしとすることで、一生懸命逃げる子が増えます。実態に合わせて、楽しいルールにカスタマイズしてください。
まとめ
この記事で紹介したサバイバルドッジは、どの学年でも楽しめる、準備が少なく短時間でできるみんな遊びです。この遊びを通じて、子どもたちはみんなで過ごすことの価値を実感し、授業や行事に友だちと共に前向きに取り組む姿勢が劇的に増えました。ぜひ、皆さんのクラスでも試してみてください。